2012-10-18

【Just Audio】AHA-120 音質 レビュー

JustAudio社のAHA120の音質をまとめます。
視聴環境

・iPod Classic
・AlgoRhythm Solo
・AHA-120
・JH13pro
・軍需品ケーブル(MIL規格)

環境は上のとおりに。狙いとしては外部DAC使用による
解像度上昇と軍需品ケーブル使用によるくせのない情報量の
多い音を鳴らすことを意図しています。ケーブルについて言えば
色付けをほぼしない方向性のケーブルですのでそれを踏まえて
レビューを参考にしていただければと思います。

評価

1.高音

高音は特筆するほどに上に伸びるわけでは無いがイヤホンで聞く分には
十分に上へ伸び出ていると私の感覚上では感じる。(Trapezium γと比べて)
少なくとも高域がしっかり出ている音源ではうるさい印象もなく
上まである程度伸びている。しかし刺さることもなく破綻もなく素直であると思う。
基本、聴き疲れするようなしつこい音ではなく
繊細めで細やかな音の強弱や音の余韻をしっかり拾うところにキャラであり
そこにこの機種の良さがあると思う。
キャラとしては派手さよりも美しさ忠実さを重視している印象を受けた。

2.中音

中音の鳴り方にAHAの特徴を強く感じている。具体的には中音の鳴り方が
なめらかで音の粒を聞くと言うよりも音の流体を聞いているような印象があり
隙間のなく連続性のあるなめらかな音であると思っている。
柔らかさやしなやかさを感じる一方で中音にはへこみを感じることもない。
ただ色があまり無くずっと聞いていると飽きてくる事もある。
ある程度やわらかさ・しなやかさなどの特色はあるとはいえ
無色であまり色付けのないモニター系であるということは確実に言えそうであり
良くも悪くもその点は注意がいるかもしれない。
ただ遠くまで細やかな音が出るため性能としては高く文句はない。

3.低音

低音も中音と同様に粒だってドライなどという印象とは逆でウェット感が
あり多少柔らかさを感じる。ただ、太さ・芯・がありだらけて収束することもなく
力強さも伴っているので不快感は感じず自然な印象を持つ。
キレキレに設定されているわけでもなく太く力強く出すということもあり
無難にまとまっている。PMAよりもIEMなど環境を選ばずに
しっかり低域も出す事もできる点では手軽であろう。
低音はそれなりに深くは出るためにイヤホンだけでなく
ヘッドホン(AD2000でのみ確認)でも薄っぺらい鳴り方は無く
AHAなどよりも小さめのポタアンよりはさすがにパワーはある。
メタルなどガッツリカッチリ系なものよりは
傾向としてクラシックなどゆったりと低音が鳴るようなジャンルのほうが
向いていると思われる。

4.解像度

ポータブル機としては解像度はかなり高い。
高音の繊細な表現や中音の滑らかさ、奥行き感が特に決定的である。
解像度が高いと聴き疲れと無意識に結び付けられる方もいるかもしれないが
AHA-120は解像度が高くとも聴き疲れすること無くひたすらにクリアであり
柔らかな鳴り方のお陰か優しい印象はある。
需品ケーブルで情報量をひたすら上げてもきつい鳴り方はせず
無難さがあり質の良さを伺える。


5.定位・分離

分離はポタ機としては高く少なくともPMAよりは優れていると個人的に思っている。
定位もポータブルではかなり良いがポタの域から抜け切れていない印象はある。
分離については音に柔らかさはあるもののボーカルと楽器は綺麗に分離していて
音の輪郭ににごりなどは感じず自然さのある(変に誇張のない)分離をしている。
定位については打楽器などの音もしっかりと分離しているために心地の良く
上下左右の楽器が鳴る方向を感じることはできた。
ただ、前後の定位についてはPMAに軍配が上がると思われる。むしろPMAは
ピラミッドバランスで立体感の表現に優位性があるために比べるのも野暮では
あるかもしれない。ただ、AHAについて逆に言えば自然な定位という点で
繊細に前後の表現はできているという見方も可能である。
前後の定位の点については好みで選べば良いと思われる。

6.音場

上下左右違和感はなくまんべんなく広がる。といって不自然に引き伸ばされた
広がりではなく遠くまでつまりが無く広がっていく印象。
音の消え方もすーっと柔らかく消えて行き心地良い。文句は特にない。

7.総評

音の作りは無難であり一台持っていても損は無い機種だと思う。
他のアンプなどと比べても、値段を考えても性能は高くaha-120にしかない
滑らかな音には魅力を感じる。
しかし、モニター系ということもありつまらない側面もあるためモニター系の音が
好みで無い限りは使い分けがベターであると思われる。
サイズはやや大きめであるがポタができるのであれば
迷った時はリファレンス機としてとりあえず買っても良い機種であると個人的には思う。
良い機種であるとはいえあくまでもポータブルアンプの域からは抜けていない。
その点は過剰な期待はしないほうが良いと思う。