2013-01-07

Kester 3.5% 音質レビュー 【Kester】 #08

はんだ聴き比べ音質レビュー第8回目は
Kester社のKester Ag 3.5%になります。
前置き

Kesterはアメリカのイリノイ州シカゴ郊外のアイタスカに世界本社を構えており
メキシコ、シンガポール、日本、台湾などにも展開している会社です。
グローバルで大きな会社でありますが100年以上の歴史を持つ老舗でもあります。
製造しているハンダの種類は多くあり中には軍へ供給できるような高信頼のはんだもあるため
実力のあるメーカーであると思います。今回、Kesterから2つ目の紹介で、
銀が3.5%入っているKester Ag3.5%を紹介させて頂きます。
切り売り(¥157/m)
レビュー

まず、作業性についてはKR-19RMAと比肩するレベルで良好であります。銀は3.5%ありますが
意外と固さなどもなく曲げやすく作業しやすい形で扱えると思います。
加えて融点なども高い印象はなく流しやすいです。はんだはノリが良く薄く広がるため
少量のハンダではんだづけが可能です。仕上がりも非常に滑らかでくすみの無い
仕上がりになりやすいです。330度~350度程度が良いと思います。
温度の高いハンダゴテを使いますとあっという間ににはんだはくすみ激しく酸化して
状態の悪いハンダになってしまいますのでご注意を。
基盤へのはんだ、精密機器、楽器、プラグなど広い場面で活躍が期待されます。
フラックスでベトベトなりすぎたりもしないため、申し分はありません。
はんだづけに慣れていない方に対しても非常におすすめです。

音質についてはレンジが上の方に広めなのが特徴の一つとしてあげられます。
(追記:若干ピークがありレンジは広い印象はありませんでした)
クセはなく特筆するほどでは無いがある程度上へと伸びていく傾向はあります。
おそらく銀特徴がある程度出てきているものだと思われます。濁りのないなり方で
雑味は無いため癖なく使いやすいハンダと思います。音の余韻は少なめでさっぱり、
しつこさは無いため聴きやすいです。
中域にわずかながらピーク・艶のようなものを感じられ少し色があります。
ただし、KR-19RMAと比べると中音の音の数が2段階ほど少ないように思います。
そういった意味からすると音響的には少し寂しさやそっけない印象も感じます。
変に音の余韻を求めない場合には良いと思いますが、
音響用途で使うならば他に選択肢があるのではないかと、
個人的には感じました。
オーグラインや一部PCOCC素材などの高音がきつく感じる場合にきつさをカットすると
いった目的で利用できますがやはりオーディオ向けではない印象です。
ただ、はんだづけはし易く安いため練習にはおすすめです。