今回は一般的な素材に焦点を当てて取り上げます。(全3回)
簡単な概要など
ケーブルの素材としてまず線材では銅線・銀線・錫(メッキ)などがあり
プラグでは金メッキ・ニッケルメッキ・ロジウムメッキなどが主に使われている素材であると思います。
もちろん、同じ素材でも音の印象が違うことがありますが素材の違いにより発生する音の変化の壁は
大きなものであり、ある程度は素材の種類でグループ分けをして音の違いを傾向として表すことが
可能であると思います。今回はその素材の傾向を私の経験則でまとめていきます。
一概にすべての材料で当てはまるとは言えませんが大まかな傾向として参考になれば幸いであります。
素材の種類と音の傾向
・銅(Copper)
銅線はオーディオでは一般的な素材であり、多くのケーブルではこの素材が利用されていると思われます。
音の傾向としましては銀線と比較して低音に肉厚感があり低音の量も体感で銀より多く感じられます。
同様に銀と比較しまして中域は滑らかさがあり艶の感じられるものもあります。高音は繊細さなどかけますが
銅の純度が高いもの(※6N以上)になれば高音の伸びや粗に改善が見られる傾向があります。
オーディオ用として一般的な純度は4N(99.99%)のものでありOFCとのみ表記されていましたら
99.99%であることが多いでしょう。それ以上のものですと5N、6N…8Nと表記されることが多いです。
Spell binder(7N)のように爽やかにスッキリ鳴るものも中にはありますが銅の純度が上がれば
銅の音の傾向が強くなることが多いです。GNDに銅だけ使用するなどと
いった使い方をすればマイルドさが顕著に現れることが多いでしょう。
PCOCC・OCC(単結晶の銅で構成されたもの)でしたら通常の銅線よりもGND素材として扱いやすいかもしれません。
(※素材の純度を●Nとあらわし●の中には数字が入る。Nは9(nine)の略で5Nの場合の純度は99.999%のような形で素材の純度を表す。)
※追記
やはり基本は銅線で選択肢は広いですが最終的に落ち着くところはこの素材であると考えております。
銀やプラチナ・パラジウム・ロジウムなどのレアメタル類などオーディオで使われることもあり解像度は高めと言われることもありますが、
クセの少なさや音の損失などを考えると銅線やメッキ銅線類に落ち着くといったところが私の中での結論です。
ピンキリで悪いものから良い物まで幅広くありますがその分奥が深くとっつきやすい素材ですので
基本的な素材としてぜひ楽しんで頂けたらと私個人としては考えております。
・銀(Silver)
銅と同様に比較的よくケーブルの素材として用いられており、高域に特色のある素材として
恐らく知られているのではないかと思います。実際に銅よりも高域の再生に特色があるものが多く
質の悪いものであればギラギラとした高音に、質の高いものであれば繊細で美しい鳴り方をするなど
銅では出せないキャラがあります。純度でいえば5N以上になると銀のステレオタイプな傾向が強くなり
より美しく繊細な音を奏でるものが多くなりますから5Nという純度が
一つのラインになりえるといえるかもしれません。
また一般的には銅よりも体感上、低音の量感は少なく肉厚感なく締まっていることが多いです。
ここでも好みが出てくるポイントだと思います。ただ、0.8mmや1.0mmなど太めの素材を用意すれば
低音の量感が改善されることもありますし一概に低音が出にくいとも言い難い側面もあり
色々試すと面白い素材であると思います。中域はシャキシャキ出るものもあれば
柔らかくシンセのような音をしっかりと繊細に表現できるようなものもあり銅と違った特色があります。
温かい音を出すような素材ではありませんが繊細さ・美しさの面で銅と比べて
上手であることが多いと思われます。
高音がきつくないものなどでしたらGND素材として使いやすいと思います。信号線の種類によっては
GNDとして銀を使うと低音が削がれてしまうこともありますのでその点は注意が必要であります。
・素材ごとの音質比較リンク集
→【第2回】金・ニッケル・ロジウムなどプラグのメッキ素材の音質
→【第3回】パラジウム・プラチナなどの音質