2014-08-31

期待のプラチナハンダ! Sn4.5N-Ag-Pt 音質レビュー #14








AudioCreation Ptはんだ聴き比べ第14回目は本日発売のはんだで
貴重なプラチナ入りの品、Sn4.5N-Ag-Ptのレビューです。
今回は少し趣を変えてご紹介します




概要



Audio Creationブランドよりプラチナ入りはんだが登場しました。製造元は佐々木半田工業。
都内にあるメーカーで素材には三菱マテリアル社の99.995%の高純度錫や4N高純度が使われております。
このこだわりのはんだにプラチナを加えたモデル、Sn4.5N-Ag-Ptが登場しました。
高純度素材をこだわって使用している和光テクニカルSR-4N Cuと比較をしつつレビューを行います。

プラチナ入りはんだの扱い



プラチナ入りはんだといえばプラチナゴールドニッカス・プラチナゴールドニゲカスが有名です。
高級で自作ユーザーで好んで使用する方も多くいます。レビューも多くあり周知の通りかもしれませんが、
これらのはんだは他のはんだと比較してややはんだづけが難しいです。はんだののりや流しやすさなど
他のはんだと違うため調整が難しいと感じる方が多くいるようです。

流しにくさの背景にははんだの融解温度がが227℃であることが挙げられます。
通常のはんだの融解温度よりも40度高いです。Sn4.5N-Ag-Ptについて言うとどうか。
こちらのはんだは217~232℃というデータがあります。217度であればss47と同等ですが、
232度となるとニゲカスよりも5度は高いため加熱不良による扱いにくさを感じるかもしれません。
その為、今回はプラチナニゲカスで指定されている350度設定ではんだづけを行ってみました。

Pt Ondo

使用感



高純度素材がはんだに使用されているためかはんだ自体に硬さはありません。
温度も350度と十分な熱量を確保しているためかはんだを流しにくいといったことは
特に感じませんでした。プラチナゴールドニゲカスよりは少なくとも扱いやすいです。
十分な加熱を行えばはんだはしっかり加熱部へとノリます。

濡れはKR-19RMAや同じく鉛フリーのSS-47と比較すると課題は残ります。はんだは薄くは広がりません。
ただ、撚り線にしっかり染みこむぐらいにははんだは広がりますので、
扱いやすさは特別悪くはないと思います。
フラックスで基板がベタベタになる心配もなく使用感は普通でした。

プラグなどへのはんだづけは特に問題なく使用可能です。基板へのはんだづけも
問題はないでしょうが熱量はそれなりには確保したいため特別な理由がなければ
特に使う必要性は感じません。
なお、はんだの仕上がりは温度調整をしても表面は滑らかには輝きませんでした。
鉛フリーですのでこの辺りは目をつぶることにします。

今回は350度で試しましたが私が試した印象ではもう少し低いほうが仕上がりも良い印象です。
コテを加熱しっぱなしにしておくと350度は軽く超えてしまう可能性もありますので
温度の上がり過ぎ・温度の下げ過ぎに気をつけつつご利用ください。

音質レビュー



Cable
冒頭の通り似たような特徴のあるSR-4N Cuとの比較でレビューを行います。
線材はアメリカのミリタリーワイヤー。他のはんだレビューで使用するものと同様に
聴き比べに使用しても問題はない品質を誇る線材です。
プラグ・線材は同じものを使いはんだだけ変えて作ったものを比較用のケーブルとして使用しています。

プラチナはたったの0.05%含まれておりますがプラチナの良い癖がうまく乗っています。
艶はなく滑らかで生々しい中音、高音・低音とともにレンジが広い点、マイルドすぎる癖のある低音が
プラチナの特徴です。この特徴のうち生々しい中音とレンジの広さがこのはんだの中に現れています。

和光の銅入りはんだも銅が入っているためか丸くバランスのよいサウンドで聴きやすいです。
その和光はんだとひかくしてもプラチナ特有の高解像度で生々しい中域がしっかりと
現れているためひずみが少なく見通しが良いです。高い透明感でピアノのタッチの柔らかさや透き通ったボーカル表現や
臨場感の良さや立体感のあふれるうるいおいのある中音に魅力があります。
和光以外のはんだと比較してもプラチナの強みがたったの0.05%でうまく引き出せています。

低音はマイルドな印象はなく軽やかに深く沈みます。ブーミーな印象はありません。
0.05%と少量で済ませたり銀を混ぜたりしているためか固くも柔らかくもなりすぎず
うまく癖のすくない低音を鳴らせております。この点も中域と同様非常に優秀です。

高音のレンジはやや広め。伸びきるような印象はないが銀・プラチナ特有の
きらびやかな音と若干エッジの聞いたようなサウンドが良いアクセントになっております。
和光のはんだなどよりも高音のピークはやや低め。明るい音ですがハデさも少しあり
この点について言えば線材・プラグとの相性が出てくる可能性があります。
個人的にはもう少し大人しい方がいろいろな場面で扱いやすいのでは?といった印象です。

解像度について言えば高め、KR-19RMAのように高くはありませんが
高音のピークを除いて言えば音に嫌味がないのでうまく嫌味のある音を間引きしやすいです。
和光のはんだよりは解像度・分解能は高く性能は高め。ただ、使う人のスキルが問われ
やや扱いの難しいはんだです。

定位は崩れがなくKR-19RMAよりは自然。ポテンシャルは高いです。
プラチナゴールドニゲカスよりも安く中域を中心に音のバランスが整っているため、
またプラチナゴールドニゲカスよりも安いためプラチナ入りを好んで使いたい方には
おすすめできます。

その他



個人的な意見としてはんだ1mに1000円近くもかかるのはやはり高い。
プラチナを使用している時点で原価もかかり加工にも手間がかかることは予想されます。
その点は諦めるしかありませんが、それを3m切り売りとなると少しシビアな印象があります。

プラチナ入りという特殊なはんだですが6ヶ月ですべて使い切ることを推奨しています。
クセもあるはんだでどのような場面でも使えるようなものであるようには思えません。
その点を考えると1m切り売りして頂けたらユーザー視点ではありがたいです。

ただ、プラチナの音を楽しむという意味では非常に優秀ですし
ジャーマンワイヤーなど相性が良いと思われるものは確実に存在しますので
プラチナはんだを試したいのであればおすすめしたい一品です。