
SHUREのE5Cのソケット取付改造を行います。
マルチBA-IEMの草分け、SHUREが誇る銘機
SHUREのE5CはBAマルチドライバの草分け的存在で、発売開始当初は革新的なものでありました。
ER-4Sに対抗し高遮音性のSHURE掛け仕様を打ち出し、2ドライバ2WAY方式の仕上がりです。
現在発売されているIEMのようにネットワークはイヤホンの筐体内に収められているわけでもなく、
ケーブルにネットワークを搭載されていたりなど違いはありますが、
こうした着実な取り組みにより現在のポータブルオーディオブームへとつながってきております。
古い銘機ですが今回断線してしまったため分解してケーブル交換対応にさせることにしました。
当時、いかに革新的だったかは公式ページにしっかりと記録が残っておりますので
興味がありましたらご覧ください。
//proaudiosales.hibino.co.jp/information/566.html
分解開始
※以下、製品保証外の行為です。分解など行われる方は自己責任の下で行って下さい。
まずは殻割りから。画像の通りの向きに殻が割れるようになっています。
カッター・デザインナイフなど薄く鋭利なものを溝に差し込みシェルの内側へと刃物をゆっくりと押し付けます。
ある程度刃が入り込みましたら、刃をねじり込みシェル同士の接着を剥がします。そうすると画像の通りに割れます。

シェルを割ったあと必要な方は音響抵抗(ダンパー)を取り出してください。
念のためですがダンパーは白でカスタムIEMなどでもつかわれるような通常のサイズです。
Mouser・G4などで替えのものを購入することはできます。

その他、ネットワーク部なども分解。マルチドライバは単純な音の足し算ではありませんので、
ネットワークの構造は必ずご確認ください。このページではネットワークの値は記しませんが、
中低音部のCI22955にあわせて高音ドライバのED23619の低音をコンデンサでカットしています。
あとはおこのみでCI22955に抵抗をはさみ、中低音の量感を調整して下さい。

MMCXは画像の通りに挿入できます。スペースはできてしまいますが、デコレジーナのような張力のある樹脂、
もしくは高い粘度の樹脂で穴埋めをすれば特に問題はございません。
ソケットの位置など確認できたらIEMケーブルからBAドライバをちょうど良い長さで(もしくは余裕のある長さ)
切り落とします。

次にドライバにネットワークを接続します。市販のIEMケーブルにはネットワークは搭載されません。
MMCXなどソケットを搭載するスペースは限られておりますので、ケーブルにネットワークを仕組むのも厳しいでしょう。
ドライバにコンデンサ・抵抗を直接取り付け、ソケット・ネットワーク・ドライバの接続を行います。
E5Cソケット化改造品の再配線。左右で作りが違うのでネットワークのおさまりが悪かったがようやく落ち着きそうだ。 pic.twitter.com/lA5GgwTFL6
— Siba (@iRslog) 2015, 8月 1
左右でシェルの作りが若干異なりますし、ネットワークを入れるスペースもソケットと同様に限られておりますので、 慎重に配置を行って下さい。シェルに引っかかった場合、BAのハンダ付けパッドがご臨終となり、 新しいBAドライバを調達しなければなりません。
Shure E5Cソケットの固定作業を半田付けの合間に進める。 pic.twitter.com/OevIKCSnW4
— Siba (@iRslog) 2015, 6月 26
接続が完了しましたらドライバ3セットをシェルに入れ、ソケットに樹脂を流し込みます。
UV樹脂・エポキシ樹脂などがお勧めです。適当な樹脂でソケットを固定させます。

シェル同士を合体させます。こちらも同様に上記樹脂で。
誤ってもアロンアルファなどのような瞬間接着剤は使わないようにしましょう。白化が進み見た目が汚くなります。

シェル全体をUV樹脂でコーティングすれば接着後も残らず光沢のある仕上がりになります。
より透明度を求めるのであれば内側もコーティングしたほうが好ましいですが参考にどうぞ。

リシェル作業が完了したらMMCXケーブルを取り付けて作業は完了となります。お疲れ様でした。
(※画像はコーティング無しのもの、比較にどうぞ)