2020-04-25

オヤイデ R1の音質レビュー

R1
JODELICA TSS2(The Sound Source II)からOyaide R1への交換をしました。1



Oyaide R1?



刃受けにベリリウム銅を使い、プラチナメッキ(0.5μ)+パラジウムメッキ(0.3μ)で仕上げをした音響用のコンセントです。TSS2は無メッキの銅素材ですが、R1はベリリウム入りの銅系素材です。銅系の素材で真鍮とはことなり鮮度の良い傾向があります。そこにパラジウムとプラチナでメッキをして個性を出した一品となります。



前置き:プラチナとパラジウムの音質



いったんR1から離れてプラチナとパラジウムの音の傾向を確認します。

プラチナの音質



プラチナ単体で見たときに、低音はぼやぼやとした感触、中音はなめらか、高音はキラキラとしたようななり方をします。特に中音域のなめらかさは際立ったものがあり聞いていて心地よさがありますが、その一方で音の情報量が薄くなり、女性ボーカルが艶やかに鳴っている風に聞こえますがやや上ずったようななり方をします。男性ボーカルもなめらかになりますが薄口ななり方となり、音の相性でいえば女性ボーカルのほうが良いです。

パラジウムの音質



パラジウムは深くうなり上げるような低音、やや遠いもののシャキシャキと主張する中音、鮮烈でシャキシャキ明暗がはっきりした高音が特徴です。特に低音は量が多いわけではないもののしっかり主張して下支えするあたりに特色があると思います。解像度が高く聞こえますが中音はスッキリとした印象でプラチナのような中音の存在感はなく情報量が銅と比較して減るような感触があります。

白金パラジウムの音質



パラジウムとプラチナを混ぜるとプラチナの苦手な低音が補われ中庸的ななり方に、中音はプラチナ主体の滑らか鳴り方に鳴りつつもそれぞれを単体で使うよりは情報量の不足感は緩和されます。高音もシャキシャキ感よりはキラキラ感のほうが主体となりリッチな聞こえ方がします。それぞれをどれぐらいの比率で混ぜるかにより音の出方は変わりますが、プラチナのほうが少量入れるだけでも特徴が出やすいと思います。音の確認には株式会社ニラコのパラジウム線・白金線・白金パラジウム線(1:9, 2:8)と5N純銀を使っていろいろ試しました。

R1のレビュー



コンセントベースにFURUTECH GTX Wall Plateを使い、カバーにはJODELICA AI-20Gを使用しました。Jodelica方式に倣い、アース端子が上向きになるようにコンセントの取り付けをしております。  
R1  
TSS2と比較するとプラチナ特有の音の滑らかさが一聴しただけでもすぐにわかる違いとして挙げられます。ボーカルがきめ細やかになるどころか生の音声のように聞こえ音のギザギザ感がきれいにならされます。一方で上でも挙げた通りに滑らかに聞こえてかつこもったような聞こえ方はしないものの女性ボーカルが上ずったなり方をして音の密度を欠くような印象があります。普通に音が鳴り情報量もある状態を維持したければTSS2のほうが良いです。中音域のなり方が好みであるか、許容できるかで評価が大きく変わると思われます。

高音はキラキラ系で刺激感は強くありません。真鍮系の普通のコンセントよりは高音の存在感はありますが、エージング中のTSS2のようにサ行・タ行がとにかく刺さり切れ味抜群な状態にはならないのでこの点は特に問題ないと思います。

1万円未満でアンプやDAC、ケーブルを変えるよりもわかりやすく個性的な音の変化をするので狙って変化をさせるのであればパフォーマンスが抜群に良いと思います。低音もバランスはとれているもののTSS2のほうが解像度が高い感触はありますが、R1の低音には締まりと適度な量感がありある程度良いバランスでまとまっていると思われます。

解像度は上がるのか



巷では解像度が高く聞こえるなど評判ですが、TSS2と比較すると必ずしも上がるとは思えません。わかりやすく滑らかに変化する中音域がとても魅力的で解像度が高く聞こえる一方でプラチナ特有の中音域のスカスカ感がやはりあると思います。決して万能なコンセントではないですし、突き詰めて使うとなると電線や周りの機材での調整も必要となると思います。  

TSS2とR1では価格は大きく違いますが音の方向性も違い、上位・下位互換の関係にないと思います。むしろ、プラチナ+パラジウムメッキの商品は少ないので音の好みで選べると思いますし、R1が好みの音であれば安上がりに環境を組める可能性も、沼にはまる可能性もあります。ルテニウム系2を含めなければR1以外にはコンセントでは同系統のものはないので好みや環境に合うかどうかが大事なような気がします。なお、強い特徴を持った製品なので、DACの電源ケーブルにアクセント程度に試すぐらいが安上がりに無難に試せるような気もします。





中音域の増強



ポリイミド(カプトン)系の被膜のケーブルを使用すると中音域の層が厚くなりプラチナ特有のスカスカ感を解消することができます。本稿では長くなってしまったため、XRLケーブルとUSBケーブルでの改善を目指して次回以降に詳細を記していきます。

まとめ



プラチナ+パラジウム系の滑らかなサウンドはとても魅力的です。一方で、手放しに誉めてばかりもいられないですが安価に白金系のサウンドを楽しめる選択肢は貴重であり、好みに合えば唯一無二のサウンドを楽しめると思います。滑らかな音や女性ボーカルを好んでいる方、中音の調整を気長に楽しめる方にはぜひおすすめしたいです。











  1. 壁コンセントの交換の場合には電気工事士の有資格者による作業が必要です。 



  2. ルテニウム系のコンセントもなめらかな音が出ると評判です。聞いてみたいものです。