概要
R1に限らずプラチナ系の素材を機材に投入すると音がなめらかになる一方で中音域が薄口に聞こえがちになります。ポリイミド(厳密に言えばデュポン社のカプトン)を使用した電線でXRLケーブルを作り中音域の補強をしていきます。
カプトンにこだわった理由

上の画像の五本のケーブルはプラグ・電線・ハンダとすべて同じ素材を使用してなるべく同じような条件で加工をしています。唯一違いを出した点としては被膜の種類です。ビニール素材のチューブ、イラックスチューブ、フッ素系素材のチューブ、テフロンチューブ、カプトンチューブの五種類を用意して音の比較を過去に行いました。
結論としては音に変化があらわれて、フッ素系(テフロン)とカプトンに人気が集まる結果となりました。その中でもカプトンを選んだ理由としてはステレオタイプな銅の傾向としてのウォーム感や中音の豊かさとは違った感覚で、中音域の層が厚くなめらかになり透き通ったなり方をするためです。プラチナ特有のなり方を維持しつつもしっかりと薄くなってしまいがちな中音をしっかり拾い充実感のあるなり方をするので個人的にはとても相性が良いと思っています。一方で、上のように再皮膜をして作るのも手間なので、過去にアメリカから輸入したシールド付きのカプトン被膜の銀メッキ銅線でXRLケーブルを作ることとしました。
完成
構成

電線には22AWG2芯シールドの電線を2本つかい、シールドをGNDに落とし2芯ずつ各チャンネルのプラス・マイナスにはんだづけをしました。プラグはフルテックの銅プラグを使っています。ハンダにはユニオン技研の鉛フリーハンダをつかっております。ユニオン技研のハンダは現在では入手することができないためNASSAUかローゼンクランツのハンダを代用したり、和光の銅入りはんだで中音にハリをだしたりするのもよいかと思われます。
音質
もともとはBELDEN5120FJのXRLを使っていましたが中音域の自然な広がりと音の層の厚さがR1とうまくマッチして薄さはまだ残るものの改善されました。銀メッキ線ですがよく言われるような高音の煩さよりも上質な銀メッキ線でよくあるシルキーさが被膜の傾向とともに現れています。低音はフッ素系のように固くなりすぎず、かといってぼやけたりする感じもなくバランスが良いです。高音はフッ素系素材のように派手さもなく中音の層の厚さもあってか高く伸びるような感触はないですがかといってボケることもなく美しい響きをしています。
結果としては目論見通りにR1との相性はよく音の滑らかさを崩さずに中音域の層の厚さを加えることに成功しました。ただ、ラインケーブルのみでは十分ではなかったようでUSBケーブルとポリイミド系素材の電線ががおそらく存在しないであろう電源ケーブルで引き続き改善をすすめて行きます。